相続手続きの流れ|必要な手続きと期限をわかりやすく整理
相続手続きは、亡くなった方が生前に所有していた不動産や現金、有価証券、負債などの財産を相続人が法的に受け継ぐための手続きです。手続きには、遺言書の確認、相続人の確定、財産の調査、遺産の分割についての協議、相続税の申告などが含まれます。相続手続きは複雑で、必要な書類や確認すべき項目が多いため、手順を間違えてしまうと後々トラブルになることもあります。
このページでは、相続手続きの全体の流れをわかりやすく説明し、各手続きの期限や注意点についても詳しく解説します。
目次
相続手続きの流れとスケジュール
相続手続きの全体像を理解することは、手続きをスムーズに進めるための第一歩です。相続手続きは、いくつかの段階に分かれます。まず、相続開始直後に行うべき初期の手続き(遺言書の確認、相続人の確定など)、次に、財産調査や相続を放棄するかどうかの決定などの中期の手続き、最後に、遺産分割協議書の作成や相続税の申告などの最終段階の手続きです。各段階には期限が設けられているものもあるため、それぞれの期限を守ることでトラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、各手続きと躓きやすいポイントを紹介します。
①遺産相続の開始
慌ただしくも葬儀が終わり、まだ亡くなった方への想いも尽きないでしょうが、ここから様々な相続の手続きが始まります。
まずは「死亡届の提出」です。
届け出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知った日から3か月以内)に行います。※「死亡した日」ではなく「死亡の事実を知った日」です。
②遺言書の有無の確認
遺言とは、遺言者の最終の意思を表したもので、自分の財産について、誰に何を相続させるか、自由に決めることができます。さらに、 財産に関する事項以外にも遺言で定めることができますが、遺言の内容に法律効果をもたらすことができる事項は、法律で決まっています。
相続手続きでは、遺産の分け方について遺言書が優先されるため、手続きを始める際にはまず遺言書があるかを確認しましょう。
③相続人の調査
財産を相続できる人は法律で定められています。そのために戸籍を収集し、相続人を確定させる必要があります。
先妻、先夫の子の存在など、それまで知らなかった事実関係がここで明らかになることもあります。
また、戸籍を収集できたとしても、字体が古すぎて解読が難しい場合もあります。
この相続人調査(戸籍収集)が場合によっては、「自分でやってみたけど、思ったよりてこずる…」となりやすいポイントとなります。
④財産の調査
相続する財産が何かを正確に把握しなければ、相続手続きは進みません。
相続できる財産は、不動産や預貯金のほかに、有価証券や貴金属、自動車なども含まれます。その他、著作権、特許権、ゴルフ会員権など多岐にわたります。
普段から親しくしている肉親とはいえ、財産のことをこと細かに把握しているケースは少ないでしょう。特に故人と離れて暮らしいているような方(例えば両親と離れて暮らしている等)は、このパターンに該当しやすいです。
⑤相続方法の決定
相続財産には、前項④のような「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産」も含まれます。例えば、借金やローン、クレジットカードの未払い料金などです。
こういったマイナスの財産がプラスの財産より多い場合には、全ての財産(プラスもマイナスも)を「相続しない」という選択もできます。
この相続しない選択のことを「相続放棄」と言いますが、期限があります。相続放棄の申告期限は被相続人がお亡くなりになってから3か月という期限が決まっておりますので、負の財産に気づいた場合はいち早い対応が必要となります。
⓺遺産分割協議書の作成
相続人同士で、誰が・何を・どれだけ相続するのかを明確にし、全員が記名押印します。その後の相続トラブルを避けるためにも重要な手続きです。
疎遠な相続人がいる、海外など遠方に住んでいる、戸籍をたどったら会ったこともない相続人がいたといったケースも含めて、全員の記名押印が必要です。
⑦遺産相続の名義変更
遺産分割協議で、誰が・何を・どれだけ相続するか決定したら、その内容に基づいてそれぞれの財産の名義変更などの手続きを行います。
この財産(主に不動産)の名義変更手続きは司法書士が非常に得意とする分野です。ご自身で行うこともできなくはないですが、その難解さと手間を考えると、司法書士に依頼することをお勧めします。特に、不動産の名義変更は2024年4月に義務化されました。3年以内に手続きを行わなければ10万円以下の過料が発生する可能性があるため忘れずに行うことが大切です。
⑧相続税の申告・納付
自分たちには相続税がかかるほど財産はないと思っている方も多いのですが、相続税は期限を過ぎると追徴課税がかかる場合もあります。申告して初めて非課税になる場合ありますので、安易にご自身で判断してしまうのは危険です。
当事務所では、相続専門の税理士と連携しておりますので、相続税についてもサポートさせていただきます。
相続手続きにおけるメリットとデメリット
相続手続きには、専門家を利用する場合と自分で行う場合のそれぞれにメリットとデメリットがあります。これらを理解した上で、どのように手続きを進めるかを決定することが重要です。
専門家を利用するメリットとデメリット
相続手続きを専門家に依頼することで、手続きの漏れやミスを防ぐことができます。また、複雑な相続税の計算や遺産の分け方についての協議を円滑に進めるためのアドバイスを受けることができ、相続手続きにかかる時間や手間を大幅に削減することが可能です。
しかし、その一方で、司法書士や弁護士に依頼する費用が発生します。費用は手続きの内容や専門家の経験によって異なりますが、相続財産の価値に応じた報酬体系が一般的です。費用を抑えたい場合は、必要な手続きだけを依頼する方法も検討できます。
相続手続きを自分で行う際のメリットとデメリット
自分で相続手続きを行う場合、専門家に依頼する費用を節約できることが最大のメリットです。特に、相続財産が少なく、相続人間で争いがない場合は、自力で手続きを進めることが現実的です。
しかし、相続手続きは多岐にわたり、法律的な知識が必要になる場面も多いため、手続きに時間がかかり、場合によっては書類不備の理由などで手続きをやり直さねばならないリスクがあります。また、税務署や法務局での手続きが必要な場合、平日に時間を確保する必要があるため、手続きが遅れる可能性があります。特に、相続税の申告に関する手続きや相続放棄の手続きは期限が設定されているだけではなく、手続きを誤ってしまうと余計な費用が発生してしまうため注意が必要です。
相続手続きの注意点
相続手続きを進める際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
相続人間のトラブル
相続手続きにおいて最も避けたいのは、相続人間でのトラブルです。特に、遺産分割協議では相続人全員の同意が必要となるため、意見の食い違いが発生しやすいです。トラブルを避けるためには、事前に相続人全員で十分な話し合いを行い、相続財産の分け方について合意を形成することが重要です。また、遺産分割協議がまとまった後は、遺産分割協議書を作成して話し合いの結果を残すことで後々のトラブルを防ぐことができます。
可能であれば、生前に書遺言を残しておくことで遺産分割協議をせずに相続財産の分配ができるため、相続が発生したときに相続人間の争いを防ぐことができます。
相続税申告で見落としやすい注意点
相続税の申告において見落としやすいポイントは、非課税財産や控除の適用漏れです。生命保険金の非課税枠や、配偶者控除など、適用できる控除を見逃すと不要な税負担が発生する可能性があります。また、相続財産の評価額の計算ミスも発生する可能性があります。特に不動産の評価は複雑であり、専門家の助言を受けることが望ましいです。また、相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内であり、この期限を過ぎると延滞税が発生するため、期限内に正確な申告を行うことが重要です。
専門家への相談が必要な場合
相続手続きが複雑になる場合や、相続人間でトラブルが発生する恐れがある場合、専門家に相談することでトラブルを未然に防ぐことができる可能性があります。
相続手続きが複雑な場合
相続手続きが複雑になるケースとして、相続財産が多岐にわたる場合や、相続人間での意見の対立がある場合が考えられます。このような場合、司法書士や弁護士に相談することで、法律的なアドバイスを受け、円滑に手続きを進めることができます。特に、遺産分割協議が難航する場合や、相続税の計算が複雑な場合は専門家のサポートが不可欠です。
このような複雑な相続手続きが見込まれる場合は、それぞれの相続の専門家がどんなケースを解決してきたかを調べて、自身の悩みを解決できる専門家に依頼することが重要です。
誰に相談したらいいの?
相続手続きを進める際に、誰に相談すべきか迷うことがあるでしょう。相続手続きに関しては、司法書士、弁護士、税理士が主な相談先となります。
司法書士は、相続登記や相続放棄などの書類作成を得意とし、弁護士は、相続人間のトラブルや遺産分割の交渉・調停を担当します。税理士は、相続税の申告や節税対策に関する専門知識を持っています。相続の内容や複雑さに応じて、最適な専門家を選ぶことが大切です。例えば、不動産の相続は司法書士しかできない業務なので、遺産に不動産がある場合には司法書士に、相続税が発生しそうな場合は税理士に相談すると良いでしょう。
専門家に依頼するメリットと費用
専門家に相続手続きを依頼することで煩雑な手続きを代行してもらえるため、安心して手続きを進めることができます。また、相続税の節税対策や、遺産分割協議の円滑な進行など、専門的な知識を活用することで、相続人にとって有利な結果を得ることが可能です。ただし、専門家に依頼する際には費用が発生します。費用は、依頼する内容や依頼する専門家によって異なるため、相続手続きを依頼する前に、想定される費用の見積もりをすることが重要です。
まとめ
相続手続きは多岐にわたるため、全体像を理解し、各手続きごとに必要な書類や手続きを確認することが大切です。また、専門家を活用することで、手続きの負担を軽減し、トラブルを防ぐことができます。柏相続窓口 ふらっとでは相続にまつわる手続きをサポートしております。相続が発生したけれど何から始めればいいか分からない、自分が亡くなった後も親族間で争ってほしくない、といった相続に関するお悩みやご相談がある方は、お気軽にお問い合わせください。
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